農地法
(昭和27年7月15日法律第229号)
最終改正:平成19年5月16日法律第48号
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 農地及び採草放牧地
第1節 権利移動及び転用の制限(第3条―第5条)
第2節 小作地等の所有の制限(第6条―第17条)
第3節 利用関係の調整(第18条―第32条)
第4節 強制競売、競売及び公売の特例(第33条―第35条)
第5節 国からの売渡(第36条―第43条)
第6節 和解の仲介(第43条の2―第43条の6)
第3章 未墾地等
第1節 買収(第44条―第60条)
第2節 売渡等(第61条―第75条)
第3節 草地利用権(第75条の2―第75条の10)
第4章 雑則(第76条―第91条の3)
第5章 罰則(第92条―第95条)
附則
第1章 総則
第1条
この法律は、農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めて、耕作者の農地の取得を促進し、及びその権利を保護し、並びに土地の農業上の効率的な利用を図るためその利用関係を調整し、もつて耕作者の地位の安定と農業生産力の増進とを図ることを目的とする。
第2条
この法律で
『農地
』とは、耕作の目的に供される土地をいい、
『採草放牧地
』とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。
2
この法律で
『自作地
』とは、耕作の事業を行う者が所有権に基いてその事業に供している農地をいい、
『小作地
』とは、耕作の事業を行う者が所有権以外の権原に基いてその事業に供している農地をいう。
3
この法律で
『小作採草放牧地
』とは、耕作又は養畜の事業を行う者が所有権以外の権原に基いてその事業に供している採草放牧地をいう。
4
この法律で
『自作農
』とは、農地又は採草放牧地につき所有権に基いて耕作又は養畜の事業を行う個人をいい、
『小作農
』とは、農地又は採草放牧地につき所有権以外の権原に基いて耕作又は養畜の事業を行う個人をいう。
5
前3項の規定の適用については、耕作又は養畜の事業を行う者の世帯員が農地又は採草放牧地について有する所有権その他の権利は、その耕作又は養畜の事業を行う者が有するものとみなす。
6
この法律で
『世帯員
』とは、住居及び生計を一にする親族をいう。この場合において、世帯員のいずれかについて生じた左に掲げる事由により世帯員が一時住居又は生計を異にしても、これらの者は、なお住居又は生計を一にするものとみなす。
7
この法律で
『農業生産法人
』とは、農事組合法人、株式会社
(公開会社(
会社法(平成17年法律第86号)
第2条第5号
に規定する公開会社をいう。)でないものに限る。以下同じ。)又は持分会社
(
同法第575条第1項
に規定する持分会社をいう。以下同じ。)で、次に掲げる要件のすべてを満たしているものをいう。
(1)
その法人の主たる事業が農業
(その行う農業に関連する事業であつて農畜産物を原料又は材料として使用する製造又は加工その他農林水産省令で定めるもの、農業と併せ行う林業及び農事組合法人にあつては農業と併せ行う
農業協同組合法(昭和22年法律第132号)
第72条の8第1項第1号
の事業を含む。以下この項において同じ。)であること。
(2)
その法人の組合員、株主
(自己の株式を保有している当該法人を除く。)又は社員
(以下『構成員』という。)は、すべて、次に掲げる者のいずれかであること
(株式会社にあつては、トに掲げる者の有する議決権の合計が総株主の議決権の4分の1以下であり、かつ、トに掲げる者の有する議決権がいずれもその法人の総株主の議決権の10分の1以下であるもの、持分会社にあつては、トに掲げる者の数が社員の総数の4分の1以下であるものに限る。)。
イ
その法人に農地若しくは採草放牧地について所有権若しくは使用収益権(地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権をいう。以下同じ。)を移転した個人(その法人の構成員となる前にこれらの権利をその法人に移転した者のうち、その移転後農林水産省令で定める一定期間内に構成員となり、引き続き構成員となつている個人以外のものを除く。)又はその一般承継人(農林水産省令で定めるものに限る。)
ロ
その法人に農地又は採草放牧地について使用収益権に基づく使用及び収益をさせている個人
ハ
その法人に使用及び収益をさせるため農地又は採草放牧地について所有権の移転又は使用収益権の設定若しくは移転に関し次条第1項又は第73条第1項の許可を申請している個人(当該申請に対する許可があり、近くその許可に係る農地又は採草放牧地についてその法人に所有権を移転し、又は使用収益権を設定し、若しくは移転することが確実と認められる個人を含む。)
ニ
その法人の行う農業に常時従事する者(前項各号に掲げる事由により一時的にその法人の行う農業に常時従事することができない者で当該事由がなくなれば常時従事することとなると農業委員会が認めたもの及び農林水産省令で定める一定期間内にその法人の行う農業に常時従事することとなることが確実と認められる者を含む。以下『常時従事者』という。)
ヘ
地方公共団体、農業協同組合又は農業協同組合連合会
ト
その法人からその法人の事業に係る物資の供給若しくは役務の提供を受ける者又はその法人の事業の円滑化に寄与する者であつて、政令で定めるもの
(3)
その法人の常時従事者たる構成員が理事等
(農事組合法人にあつては理事、株式会社にあつては取締役、持分会社にあつては業務を執行する社員をいう。以下この号において同じ。)の数の過半を占め、かつ、その過半を占める理事等の過半数の者が、その法人の行う農業に必要な農作業に農林水産省令で定める日数以上従事すると認められるものであること。
8
法人の構成員につき常時従事者であるかどうかを判定すべき基準は、農林水産省令で定める。
9
この法律で
『小作料
』とは、耕作の目的で農地につき地上権又は賃借権が設定されている場合の地代又は借賃
(その地上権又は賃借権の設定に附随して、農地以外の土地についての地上権若しくは賃借権又は建物その他の工作物についての賃借権が設定され、その地代又は借賃と農地の地代又は借賃とを分けることができない場合には、その農地以外の土地又は工作物の地代又は借賃を含む。)及び農地につき永小作権が設定されている場合の小作料をいう。
第2章 農地及び採草放牧地
第1節 権利移動及び転用の制限
第3条
農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可
(これらの権利を取得する者(政令で定める者を除く。)がその住所のある市町村の区域の外にある農地又は採草放牧地について権利を取得する場合その他政令で定める場合には、都道府県知事の許可)を受けなければならない。
ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第5条第1項本文に規定する場合は、この限りでない。
(1)
第36条、第61条、第68条、第69条、第70条又は第80条の規定によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合
(2)
第26条から第31条までの規定によつて利用権が設定され、又は第75条の2から第75条の7までの規定によつて草地利用権が設定される場合
(2)の2
第75条の8の規定によつてこれらの権利が移転される場合
(3)
これらの権利を取得する者が国又は都道府県である場合
(5)
民事調停法(昭和26年法律第222号)による農事調停によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合
(6)
土地収用法(昭和26年法律第219号)その他の法律によつて農地若しくは採草放牧地又はこれらに関する権利が収用され、又は使用される場合
(7)の2
農業経営基盤強化促進法第4条第2項
に規定する農地保有合理化法人
(以下『農地保有合理化法人』という。)が、農林水産省令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、
同項第1号
に規定する農地売買等事業
(以下『農地売買等事業』という。)の実施によりこれらの権利を取得する場合
(7)の3
農業経営基盤強化促進法第6条第6項
の同意を得た市町村
(以下『同意市町村』という。)又は農地保有合理化法人が、農林水産省令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、
同法第4条第4項
に規定する特定法人貸付事業
(以下『特定法人貸付事業』という。)の用に供するためこれらの権利を取得する場合
2
前項の許可は、次の各号のいずれかに該当する場合には、することができない。
ただし、
民法第269条の2第1項
の地上権又はこれと内容を同じくするその他の権利が設定され、又は移転されるとき、
農業協同組合法第10条第2項
に規定する事業を行う農業協同組合が農地又は採草放牧地の所有者から
同項
の委託を受けることにより
第2号
に掲げる権利が取得されることとなるとき、並びに第2号の2、第4号、第5号及び第8号に掲げる場合において政令で定める相当の事由があるときは、この限りでない。
(1)
小作地又は小作採草放牧地につきその小作農及びその世帯員並びにその土地について耕作又は養畜の事業を行つている農業生産法人
(以下この号で『小作農等』という。)以外の者が所有権を取得しようとする場合
(その小作農等がその小作農等以外の者に対し所有権を移転することにつきその許可の申請前6月以内に同意した小作地又は小作採草放牧地でその同意した旨が書面において明らかであるものについてその小作農等以外の者が所有権を取得しようとする場合並びに強制執行、担保権の実行としての競売(その例による競売を含む。以下単に『競売』という。)若しくは
国税徴収法(昭和34年法律第147号)による滞納処分(その例による滞納処分を含む。以下『国税滞納処分等』という。)に係る差押え又は仮差押えの執行のあつた後に使用及び収益を目的とする権利が設定された小作地又は小作採草放牧地についてその差押えに係る強制執行、競売若しくは国税滞納処分等又はその仮差押えの執行に係る強制執行によりその小作農等以外の者が所有権を取得しようとする場合を除く。)
(2)
所有権、地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を取得しようとする者又はその世帯員がその取得後において耕作又は養畜の事業に供すべき農地及び採草放牧地のすべてについて耕作又は養畜の事業を行うと認められない場合
(2)の3
農業生産法人が所有権及び使用収益権以外の権利を取得しようとする場合
(2)の4
特定法人が使用貸借による権利及び賃借権以外の権利を取得しようとする場合
(2)の5
信託の引受けにより第2号に掲げる権利が取得される場合
(3)
耕作又は養畜の事業の委託を受けることにより第2号に掲げる権利が取得されることとなる場合
(4)
第2号に掲げる権利を取得しようとする者
(農業生産法人及び特定法人を除く。)又はその世帯員がその取得後において行う耕作又は養畜の事業に必要な農作業に常時従事すると認められない場合
(5)
第2号に掲げる権利を取得しようとする者又はその世帯員がその取得後において耕作の事業に供すべき農地の面積の合計及びその取得後において耕作又は養畜の事業に供すべき採草放牧地の面積の合計が、いずれも、北海道では2ヘクタール、都府県では50アール
(都道府県知事が、農林水産省令で定める基準に従い、その都道府県の区域の一部についてこれらの面積の範囲内で別段の面積を定め、これを公示したときは、その面積)に達しない場合
(6)
第36条又は第61条の規定により売り渡された農地又は採草放牧地であつてその売渡し後10年を経過しないものにつき地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利又は賃借権を設定しようとする場合
(その土地の所有者又はその世帯員の死亡又は前条第6項に掲げる事由によりその土地について耕作、採草又は家畜の放牧をすることができないため一時貸し付けようとする場合、その土地の所有者がその土地をその世帯員に貸し付けようとする場合、農地保有合理化法人が農地売買等事業の実施により所有権を取得したその土地を一時貸し付けようとする場合、その土地を水田裏作(田において稲を通常栽培する期間以外の期間稲以外の作物を栽培することをいう。以下同じ。)の目的に供するため貸し付けようとする場合及び農業生産法人の構成員がその土地につきその法人のために使用収益権を設定しようとする場合を除く。)
(7)
小作地又は小作採草放牧地について耕作又は養畜の事業を行う者がその小作地又は小作採草放牧地を貸し付け、又は質入れしようとする場合
(その土地の小作農又はその世帯員の死亡又は前条第6項に掲げる事由によりその土地について耕作、採草又は家畜の放牧をすることができないため一時貸し付けようとする場合、その土地の小作農がその土地をその世帯員に貸し付けようとする場合、農地保有合理化法人がその土地を農地売買等事業の実施により貸し付けようとする場合、同意市町村又は農地保有合理化法人がその土地を特定法人貸付事業の実施により貸し付けようとする場合、その土地を水田裏作の目的に供するため貸し付けようとする場合及び農業生産法人の常時従事者たる構成員がその土地をその法人に貸し付けようとする場合を除く。)
(8)
第2号に掲げる権利を取得しようとする者又はその世帯員の農業経営の状況、その住所地からその農地又は採草放牧地までの距離等からみて、これらの者がその土地を効率的に利用して耕作又は養畜の事業を行うことができると認められない場合
3
第1項の許可は、条件をつけてすることができる。
4
第1項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。
第4条
農地を農地以外のものにする者は、政令で定めるところにより、都道府県知事の許可
(その者が同一の事業の目的に供するため4ヘクタールを超える農地を農地以外のものにする場合(
農村地域工業等導入促進法(昭和46年法律第112号)その他の地域の開発又は整備に関する法律で政令で定めるもの(以下『地域整備法』という。)の定めるところに従つて農地を農地以外のものにする場合で政令で定める要件に該当するものを除く。)には、農林水産大臣の許可)を受けなければならない。
ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
(1)
第7条第1項第4号に掲げる農地を農地以外のものにする場合
(2)
次条第1項の許可に係る農地をその許可に係る目的に供する場合
(3)
国又は都道府県が農地を農地以外のものにする場合
(4)
土地収用法
その他の法律によつて収用し、又は使用した農地をその収用又は使用に係る目的に供する場合
(5)
市街化区域
(
都市計画法(昭和43年法律第100号)
第7条第1項
の市街化区域と定められた区域で、
同法第23条第1項
の規定による協議が調つたものをいう。)内にある農地を、政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地以外のものにする場合
2
前項の許可は、次の各号のいずれかに該当する場合には、することができない。
ただし、第1号及び第2号に掲げる場合において、
土地収用法第26条第1項
の規定による告示
(他の法律の規定による告示又は公告で
同項
の規定による告示とみなされるものを含む。次条第2項において同じ。)に係る事業の用に供するため農地を農地以外のものにしようとするとき、第1号イに掲げる農地を農業振興地域の整備に関する法律第8条第4項に規定する農用地利用計画
(以下単に『農用地利用計画』という。)において指定された用途に供するため農地以外のものにしようとするときその他政令で定める相当の事由があるときは、この限りでない。
(1)
次に掲げる農地を農地以外のものにしようとする場合
イ
農用地区域(農業振興地域の整備に関する法律第8条第2項第1号に規定する農用地区域をいう。以下同じ。)内にある農地
ロ
イに掲げる農地以外の農地で、集団的に存在する農地その他の良好な営農条件を備えている農地として政令で定めるもの
(市街化調整区域(
都市計画法第7条第1項
の市街化調整区域をいう。以下同じ。)内にある政令で定める農地以外の農地にあつては、次に掲げる農地を除く。)
(1)
市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地で政令で定めるもの
(2)
(1)の区域に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地で政令で定めるもの
(2)
前号イ及びロに掲げる農地
(同号ロ(1)に掲げる農地を含む。)以外の農地を農地以外のものにしようとする場合において、申請に係る農地に代えて周辺の他の土地を供することにより当該申請に係る事業の目的を達成することができると認められるとき。
(3)
申請者に申請に係る農地を農地以外のものにする行為を行うために必要な資力及び信用があると認められないこと、申請に係る農地を農地以外のものにする行為の妨げとなる権利を有する者の同意を得ていないことその他農林水産省令で定める事由により、申請に係る農地のすべてを住宅の用、事業の用に供する施設の用その他の当該申請に係る用途に供することが確実と認められない場合
(4)
申請に係る農地を農地以外のものにすることにより、土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあると認められる場合、農業用用排水施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合その他の周辺の農地に係る営農条件に支障を生ずるおそれがあると認められる場合
(5)
仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するため農地を農地以外のものにしようとする場合において、その利用に供された後にその土地が耕作の目的に供されることが確実と認められないとき。
3
都道府県知事が、第1項の規定により許可をしようとするときは、あらかじめ、都道府県農業会議の意見を聴かなければならない。
4
第1項の許可は、条件を付けてすることができる。
第5条
農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの
(農地を除く。次項において同じ。)にするため、これらの土地について第3条第1項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が都道府県知事の許可
(これらの権利を取得する者が同一の事業の目的に供するため4ヘクタールを超える農地又はその農地と併せて採草放牧地について権利を取得する場合(地域整備法の定めるところに従つてこれらの権利を取得する場合で政令で定める要件に該当するものを除く。)には、農林水産大臣の許可)を受けなければならない。
ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
(1)
これらの権利を取得する者が国又は都道府県である場合
(2)
土地収用法
その他の法律によつて農地若しくは採草放牧地又はこれらに関する権利が収用され、又は使用される場合
(3)
前条第1項第5号に規定する市街化区域内にある農地又は採草放牧地につき、政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地及び採草放牧地以外のものにするためこれらの権利を取得する場合
2
前項の許可は、次の各号のいずれかに該当する場合には、することができない。
ただし、第1号及び第2号に掲げる場合において、
土地収用法第26条第1項
の規定による告示に係る事業の用に供するため
第3条第1項
本文に掲げる権利を取得しようとするとき、第1号イに掲げる農地又は採草放牧地につき農用地利用計画において指定された用途に供するためこれらの権利を取得しようとするときその他政令で定める相当の事由があるときは、この限りでない。
(1)
次に掲げる農地又は採草放牧地につき第3条第1項本文に掲げる権利を取得しようとする場合
イ
農用地区域内にある農地又は採草放牧地
ロ
イに掲げる農地又は採草放牧地以外の農地又は採草放牧地で、集団的に存在する農地又は採草放牧地その他の良好な営農条件を備えている農地又は採草放牧地として政令で定めるもの(市街化調整区域内にある政令で定める農地又は採草放牧地以外の農地又は採草放牧地にあつては、次に掲げる農地又は採草放牧地を除く。)
(1)
市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地又は採草放牧地で政令で定めるもの
(2)
(1)の区域に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地又は採草放牧地で政令で定めるもの
(2)
前号イ及びロに掲げる農地
(同号ロ(1)に掲げる農地を含む。)以外の農地を農地以外のものにするため第3条第1項本文に掲げる権利を取得しようとする場合又は同号イ及びロに掲げる採草放牧地
(同号ロ(1)に掲げる採草放牧地を含む。)以外の採草放牧地を採草放牧地以外のものにするためこれらの権利を取得しようとする場合において、申請に係る農地又は採草放牧地に代えて周辺の他の土地を供することにより当該申請に係る事業の目的を達成することができると認められるとき。
(3)
第3条第1項本文に掲げる権利を取得しようとする者に申請に係る農地を農地以外のものにする行為又は申請に係る採草放牧地を採草放牧地以外のものにする行為を行うために必要な資力及び信用があると認められないこと、申請に係る農地を農地以外のものにする行為又は申請に係る採草放牧地を採草放牧地以外のものにする行為の妨げとなる権利を有する者の同意を得ていないことその他農林水産省令で定める事由により、申請に係る農地又は採草放牧地のすべてを住宅の用、事業の用に供する施設の用その他の当該申請に係る用途に供することが確実と認められない場合
(4)
申請に係る農地を農地以外のものにすること又は申請に係る採草放牧地を採草放牧地以外のものにすることにより、土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあると認められる場合、農業用用排水施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合その他の周辺の農地又は採草放牧地に係る営農条件に支障を生ずるおそれがあると認められる場合
(5)
仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するため所有権を取得しようとする場合
(6)
仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するため、農地につき所有権以外の第3条第1項本文に掲げる権利を取得しようとする場合においてその利用に供された後にその土地が耕作の目的に供されることが確実と認められないとき、又は採草放牧地につきこれらの権利を取得しようとする場合においてその利用に供された後にその土地が耕作の目的若しくは主として耕作若しくは養畜の事業のための採草若しくは家畜の放牧の目的に供されることが確実と認められないとき。
(7)
農地を採草放牧地にするため第3条第1項本文に掲げる権利を取得しようとする場合において、同条第2項の規定により同条第1項の許可をすることができない場合に該当すると認められるとき。
3
第3条第3項及び第4項並びに前条第3項の規定は、第1項の場合に準用する。
第2節 小作地等の所有の制限
第6条
国以外の者は、何人も次に掲げる小作地を所有してはならない。
(1)
その所有者の住所のある市町村の区域の外にある小作地
(2)
その所有者の住所のある市町村の区域内にある小作地でその住所のある都道府県について別表で定める面積
(都道府県知事が農林水産大臣の承認を受け、その都道府県の区域を2以上の区域に分けて各区域の面積をその平均がおおむね別表のその都道府県の面積と等しくなるように定め、これを公示したときは、その面積)をこえる面積のもの
2
前項の規定の適用については、小作地の所有者の世帯員が当該所有者の住所のある市町村の区域内で所有する小作地は、当該所有者が所有するものとみなす。
3
第1項の規定の適用については、小作地の所有者で第2条第6項に掲げる事由により、一時その住所がその所有する小作地のある市町村の区域内にないものは、その住所がその市町村の区域内にあるものとみなす。
4
第1項の規定の適用については、自作農又はその世帯員であつた者で第2条第6項に掲げる事由以外の事由によりその住所がその所有する農地のある市町村の区域内になくなり、その者の配偶者又はその者と住居及び生計を一にしていた2親等内の血族がその農地について引き続き耕作をしていて、かつ、その農地の所有者がその農地のある市町村の区域内に住所を有するに至る見込があると農業委員会が認めたものは、その住所がその市町村の区域内にあるものとみなす。
5
第1項の規定の適用については、小作地以外の農地でその所有者又はその世帯員でない者が平穏に、かつ、公然と耕作の事業に供しているものは、小作地とみなす。
6
第1項の規定の適用については、次条第1項第2号から第16号までに掲げる小作地の面積は、その所有者の所有面積に算入しない。
第7条
次の各号のいずれかに該当する小作地は、前条第1項の規定にかかわらず、所有することができる。
(1)
農地の所有者
(法人を除く。)若しくはその世帯員が耕作の事業に供すべき農地のすべてについてその耕作の事業を廃止した時の住所地の属する市町村の区域内において所有する小作地
(次号から第16号までに掲げる小作地以外の小作地で、その所有者又はその者の配偶者若しくはその者と住居及び生計を一にしていた2親等内の血族がその廃止前通じて政令で定める一定期間所有していたものに限る。)であつてその面積の合計がその住所地の属する都道府県について前条第1項第2号の別表で定める面積
(同号の規定による公示がされているときは、その公示に係る面積)を超えないもの
(農林水産省令で定めるところにより当該小作地である旨の農業委員会の確認を受けたもので、その確認後引き続き小作地であるものに限る。)又はその小作地の所有権をその廃止の時の所有者から承継した一般承継人
(農林水産省令で定めるところにより当該一般承継人である旨の農業委員会の確認を受けたものに限る。)がその承継後引き続き所有しているその小作地
(2)
国又は地方公共団体が公用又は公共用に供している小作地
(3)
試験研究又は農事指導の目的に供するものとして、政令で定めるところにより、都道府県知事の指定を受けた小作地
(4)
近く農地以外のものとすることを相当とするものとして、政令で定めるところにより、都道府県知事の指定を受けた小作地
(5)
自作農又はその世帯員の死亡又は第2条第6項に掲げる事由によつて自作地として耕作をすることができなくなつたため、小作地として貸し付けられている土地であつて、自作農であつた者又はその世帯員が耕作をすることができるようになれば直ちにこれをすると農業委員会が認めたもの
(6)
新開墾地、焼畑、切替畑等収穫の著しく不定な小作地で、政令で定めるところにより、都道府県知事の指定を受けたもの
(7)
地割慣行のある小作地又は鉱山若しくは炭坑附近の陥没のおそれがある小作地で、都道府県知事の承認を受けて農業委員会の指定したもの
(8)
農業生産法人の構成員が所有する小作地で、その法人がその者から設定を受けた使用収益権に基づいて耕作の事業に供しているもの
(9)
農業協同組合がその組合員の行う耕作又は養畜の事業に必要な施設の用に供している小作地
(11)
信託事業を行う農業協同組合又は農地保有合理化法人が所有する小作地で信託事業に係る信託財産であるもの
(12)
農地保有合理化法人が農地売買等事業の実施により借り受けている小作地
(13)
農地保有合理化法人が所有し、かつ、農地売買等事業の実施により貸し付けている小作地
(13)の4
同意市町村又は農地保有合理化法人が特定法人貸付事業の用に供すべきものとして所有権以外の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転を受けている小作地
(13)の5
同意市町村又は農地保有合理化法人が所有し、かつ、特定法人貸付事業の実施により貸し付けている小作地
(14)
第4条第1項第5号に規定する市街化区域内にある小作地
2
前項第1号の規定の適用については、同号の規定による農業委員会の確認を受けた小作地が小作地でなくなつた場合において、その小作地でなくなつた後1年以内に再び小作地となつたときは、その小作地は、当該確認後引き続き小作地であつたものとみなす。
3
第1項第3号、第4号及び第6号の指定は、有効期間を限り、又はその他の条件を付けてすることができる。
4
農業生産法人の構成員以外の者で、従前その法人の構成員であつたもの又はその法人の構成員であつた者の一般承継人であるものが所有する小作地で、その法人がその所有者
(所有者がその法人の構成員であつた者の一般承継人である場合には、その構成員であつた者)からその者がその法人の構成員でなくなる以前に設定を受けた期間の定めがある使用収益権に基づいて耕作の事業に供しているものについての第1項第8号の規定の適用については、その所有者は、その使用収益権の残存期間に限り、その法人の構成員とみなす。
第8条
農業委員会は、前2条の規定により所有してはならない小作地があると認めたときは、次に掲げる事項を公示し、かつ、公示の日の翌日から起算して1箇月間、その事務所で、これらの事項を記載した書類を縦覧に供しなければならない。
(2)
第6条第1項第1号の規定により所有してはならない場合には、その小作地の所在、地番、地目及び面積、同項第2号の規定により所有してはならない場合には、その者がその市町村の区域内で所有するすべての小作地
(前条第1項第2号から第16号までに掲げるものを除く。)の所在、地番、地目及び面積並びに所有してはならない面積
2
農業委員会は、前項の規定による公示をしたときは、遅滞なく、その土地の所有者に同項に掲げる事項を通知しなければならない。この場合において、通知ができないときは、通知すべき事項を公示して通知に代えることができる。
第9条
前条第1項の規定により公示された小作地の所有者が、第6条第1項第1号に該当する旨の公示があつたときはその公示に係る小作地につき、同項第2号に該当する旨の公示があつたときはその公示に係る小作地のうち所有してはならない面積に相当するものにつき、その公示の日から起算して1箇月以内に
(その公示に係る小作地の所有者がその期間の満了前に農業委員会に対しその期間の満了の日の翌日から起算して2箇月をこえない期間内で期日を定め、その期日までその期間を延長すべきことを書類で申し入れたときは、その期日までに)、所有権の譲渡しをしないとき
(第7条第1項第8号に掲げる小作地に該当するものでなくなつた小作地にあつては、農林水産省令で定めるところにより、所有権の譲渡しをし、地上権若しくは永小作権の消滅をさせ、使用貸借の解除をし、合意による解約をし、若しくは返還の請求をし、又は賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、若しくは賃貸借の更新をしない旨の通知をしないとき)は、国がこれを買収する。
ただし、本文に規定する期間内に第3条第1項又は第20条第1項の規定による許可の申請があり、その期間経過後までこれに対する処分がないときも、その処分があるまでは、この限りでない。
2
国は、第6条第1項第2号に該当するものとして前項の規定により小作地を買収する場合において、その分筆を避けるため特に必要があるときは、10アールをこえない範囲内で、所有してはならない面積をこえる面積のものを買収することができる。
3
前2項の規定による国の買収は、後3条に規定する手続に従つてするものとする。
第10条
農業委員会は、前条の規定により国が小作地を買収すべき場合には、遅滞なく、買収すべき小作地を定め、次に掲げる事項を記載した書類を都道府県知事に送付しなければならない。
(3)
その土地の上に先取特権、質権又は抵当権がある場合には、その権利の種類並びにその権利を有する者の氏名又は名称及び住所
2
農業委員会は、前項の書類を送付する場合において、買収すべき土地の上に先取特権、質権又は抵当権があるときは、その権利を有する者に対し、農林水産省令で定めるところにより、対価の供託の要否を20日以内に都道府県知事に申し出るべき旨を通知しなければならない。
第11条
都道府県知事は、前条第1項の規定により送付された書類に記載されたところに従い、遅滞なく
(同条第2項の規定による通知をした場合には、同項の期間経過後遅滞なく)、次に掲げる事項を記載した買収令書を作成し、これをその土地の所有者に、その謄本をその農業委員会に交付しなければならない。
(4)
対価の支払の方法
(次条第2項の規定により対価を供託する場合には、その旨)
2
都道府県知事は、前項の規定による買収令書の交付をすることができない場合には、その内容を公示して交付に代えることができる。
3
農業委員会は、買収令書の謄本の交付を受けたときは、遅滞なく、その旨を公示するとともに、その公示の日の翌日から起算して20日間、その事務所でこれを縦覧に供しなければならない。
第12条
前条第1項第3号の対価は、政令で定めるところにより算出した額とする。
2
買収すべき土地の上に先取特権、質権又は抵当権がある場合には、その権利を有する者から第10条第2項の期間内に、その対価を供託しないでもよい旨の申出があつたときを除いて、国は、その対価を供託しなければならない。
3
国は、前項に規定する場合の外、左に掲げる場合にも対価を供託することができる。
(1)
対価の支払を受けるべき者が受領を拒み、又は受領することができない場合
(2)
対価の支払を受けるべき者を確知することができない場合
(3)
差押又は仮差押により対価の支払の禁止を受けた場合
第13条
国が買収令書に記載された買収の期日までにその買収令書に記載された対価の支払又は供託をしたときは、その期日に、その土地の上にある先取特権、質権及び抵当権は、消滅し、その土地の所有権は、国が取得する。
2
前項の規定により消滅する先取特権、質権又は抵当権を有する者は、前条第2項若しくは第3項の規定により供託された対価に対してその権利を行うことができる。
3
国が買収令書に記載された買収の期日までにその買収令書に記載された対価の支払又は供託をしないときは、その買収令書は、効力を失う。
4
第1項及び前項の規定の適用については、国が、
会計法(昭和22年法律第35号)
第21条第1項
の規定により、対価の支払に必要な資金を日本銀行に交付して送金の手続をさせ、その旨をその土地の所有者に通知したときは、その通知が到達した時を国が対価の支払をした時とみなす。
第14条
第9条の規定による買収をする場合において、農業委員会がその買収される土地の農業上の利用のため特に必要があると認めるときは、国は、その買収される土地の所有者又はその世帯員の有する土地
(農地を除く。)、立木、建物その他の工作物又は水の使用に関する権利をあわせて買収することができる。
2
第10条から前条までの規定は、前項の規定による買収をする場合に準用する。この場合において、第10条第1項中第2号は、
『2 土地についてはその所在、地番、地目及び面積、立木についてはその樹種、数量及び所在の場所、工作物についてはその種類及び所在の場所、水の使用に関する権利についてはその内容
』と読み替えるものとする。
第15条
第3条第2項第6号に規定する農地又は採草放牧地をその所有者及びその世帯員以外の者が耕作又は養畜の事業に供したときは、第3条第1項の規定による許可を受けて貸し付けられた場合を除き、国がこれを買収する。
2
第10条から前条までの規定は、前項の規定による買収をする場合に準用する。
第15条の2
農業生産法人であつて、農地若しくは採草放牧地
(その法人が第3条第1項本文に掲げる権利を取得した時に農地及び採草放牧地以外の土地であつたものその他政令で定めるものを除く。以下この項において同じ。)を所有し、又はその法人以外の者が所有する農地若しくは採草放牧地をその法人の耕作若しくは養畜の事業に供しているものは、農林水産省令で定めるところにより、毎年、事業の状況その他農林水産省令で定める事項を農業委員会に報告しなければならない。農業生産法人が農業生産法人でなくなつた場合
(農業生産法人が合併によつて解散し、又は分割をした場合において、当該合併によつて設立し、若しくは当該合併後存続する法人又は当該分割によつて農地若しくは採草放牧地について同条第1項本文に掲げる権利を承継した法人が農業生産法人でない場合を含む。次条第1項において同じ。)におけるその法人及びその一般承継人についても、同様とする。
2
農業委員会は、前項前段の規定による報告に基づき、農業生産法人が第2条第7項各号に掲げる要件を満たさなくなるおそれがあると認めるときは、その法人に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
3
農業委員会は、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた法人からその所有する農地又は採草放牧地について所有権の譲渡しをする旨の申出があつたときは、これらの土地の所有権の譲渡しについてのあつせんに努めなければならない。
第15条の3
農業生産法人が農業生産法人でなくなつた場合において、その法人若しくはその一般承継人が所有する農地若しくは採草放牧地があるとき、又はその法人及びその一般承継人以外の者が所有する農地若しくは採草放牧地でその法人若しくはその一般承継人の耕作若しくは養畜の事業に供されているものがあるときは、国がこれを買収する。
ただし、これらの土地でその法人が第3条第1項本文に掲げる権利を取得した時に農地及び採草放牧地以外の土地であつたものその他政令で定めるものについては、この限りでない。
2
第3条第2項第6号に規定する農地又は採草放牧地をその所有者が農業生産法人に貸し付けた場合において、その所有者が当該貸付けに係る法人の構成員でなくなつたときは、国がその農地又は採草放牧地を買収する。
3
農業委員会は、前2項の規定による買収をすべき農地又は採草放牧地があると認めたときは、次に掲げる事項を公示し、かつ、公示の日の翌日から起算して1月間、その事務所で、これらの事項を記載した書類を縦覧に供しなければならない。この場合には、第8条第2項の規定を準用する。
(1)
その農地又は採草放牧地の所有者の氏名又は名称及び住所
(2)
その農地又は採草放牧地の所在、地番、地目及び面積
4
農業委員会は、第1項の規定による買収をすべき農地又は採草放牧地が前条第2項の規定による勧告に係るものであるときは、当該勧告の日
(同条第3項の申出があつたときは、当該申出の日)の翌日から起算して3月間
(当該期間内に第3条第1項又は第20条第1項の規定による許可の申請があり、その期間経過後までこれに対する処分がないときは、その処分があるまでの間)、前項の規定による公示をしないものとする。
5
農業委員会は、第1項の規定による買収をすべき農地又は採草放牧地につき第3項の規定により公示をした場合において、その公示の日の翌日から起算して3月以内に農林水産省令で定めるところにより当該法人から第2条第7項各号に掲げる要件のすべてを満たすに至つた旨の届出があり、かつ、審査の結果その届出が真実であると認められるときは、遅滞なく、その公示を取り消さなければならない。
6
農業委員会は、前項の規定による届出があり、審査の結果その届出が真実であると認められないときは、遅滞なく、その旨を公示しなければならない。
7
第5項の規定により公示が取り消されたときは、その公示に係る農地又は採草放牧地については、国は、第1項の規定による買収をしない。
8
第3項の規定により公示された農地若しくは採草放牧地の所有者又はこれらの土地について使用収益権に基づく使用及び収益をさせている者が、その公示に係る農地又は採草放牧地につき、第1項の規定による買収をすべき農地又は採草放牧地にあつては第5項に規定する期間の満了の日
(その日までに同項の規定による届出があり、これにつき第6項の規定による公示があつた場合のその公示に係る農地又は採草放牧地については、その公示の日)、第2項の規定による買収をすべき農地又は採草放牧地にあつては第3項の規定による公示の日の翌日から起算して3月以内に、農林水産省令で定めるところにより、所有権の譲渡しをし、地上権若しくは永小作権の消滅をさせ、使用貸借の解除をし、合意による解約をし、若しくは返還の請求をし、又は賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、若しくは賃貸借の更新をしない旨の通知をしたときは、当該農地又は採草放牧地については、第1項又は第2項の規定による買収をしない。当該期間内に第3条第1項又は第20条第1項の規定による許可の申請があり、その期間経過後までこれに対する処分がないときも、その処分があるまでは、同様とする。
9
農業委員会は、第1項の法人又はその一般承継人からその所有する農地又は採草放牧地について所有権の譲渡しをする旨の申出があつた場合は、前項の期間が経過するまでの間、これらの土地の所有権の譲渡しについてのあつせんに努めなければならない。
10
第10条から第14条までの規定は、第1項又は第2項の規定による買収をする場合に準用する。
第15条の4
農業委員会は、
農業委員会等に関する法律(昭和26年法律第88号)
第29条第1項
の規定による立入調査のほか、前条の規定による買収をするため必要があるときは、委員又は職員に法人の事務所その他の事業場に立ち入らせて必要な調査をさせることができる。
2
前項の規定により立入調査をする委員又は職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の要求があるときは、これを提示しなければならない。
3
第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第16条
農地又は採草放牧地の所有者は、農業委員会に対し、その所有する農地又は採草放牧地を国が買収すべき旨を申し出ることができる。
2
第10条から第14条までの規定は、前項の規定による申出があつた場合に準用する。
第17条
第10条第2項
(第14条第2項(第15条第2項、第15条の3第10項又は前条第2項で準用する場合を含む。以下この条において同じ。)、第15条第2項、第15条の3第10項又は前条第2項で準用する場合を含む。)の規定による通知及び第11条
(第14条第2項、第15条第2項、第15条の3第10項又は前条第2項で準用する場合を含む。)の規定による買収令書の交付は、その通知又は交付を受けた者の承継人に対してもその効力を有する。
第3節 利用関係の調整
第18条
農地又は採草放牧地の賃貸借は、その登記がなくても、農地又は採草放牧地の引渡があつたときは、これをもつてその後その農地又は採草放牧地について物権を取得した第三者に対抗することができる。
2
民法第566条第1項
及び
第3項(用益的権利による制限がある場合の売主の担保責任)の規定は、登記をしてない賃貸借の目的である農地又は採草放牧地が売買の目的物である場合に準用する。
第19条
農地又は採草放牧地の賃貸借について期間の定めがある場合において、その当事者が、その期間の満了の1年前から6月前まで
(賃貸人又はその世帯員の死亡又は第2条第6項に掲げる事由によりその土地について耕作、採草又は家畜の放牧をすることができないため、一時賃貸をしたことが明らかな場合は、その期間の満了の6月前から1月前まで)の間に、相手方に対して更新をしない旨の通知をしないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものとみなす。
ただし、水田裏作を目的とする賃貸借でその期間が1年未満であるもの、第75条の2から第75条の7までの規定によつて設定された草地利用権
(その存続期間が更新されたものにあつては、その更新が第75条の7第1項の規定又は同条第2項で準用する第75条の2第2項から第5項まで及び第75条の3から第75条の6までの規定によつてされたものに限る。次条第1項第4号で同様とする。)に係る賃貸借、
農業経営基盤強化促進法第19条
の規定による公告があつた農用地利用集積計画の定めるところによつて設定され、又は移転された
同法第4条第3項第1号
に規定する利用権に係る賃貸借及び
同法第27条の5
から
第27条の8
までの規定によつて設定された
同法第27条の5
に規定する特定利用権に係る賃貸借については、この限りでない。
第20条
農地又は採草放牧地の賃貸借の当事者は、政令で定めるところにより都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、又は賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。
ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
(1)
解約の申入れ、合意による解約又は賃貸借の更新をしない旨の通知が、信託事業に係る信託財産につき行なわれる場合
(その賃貸借がその信託財産に係る信託の引受け前から既に存していたものである場合及び解約の申入れ又は合意による解約にあつてはこれらの行為によつて賃貸借の終了する日、賃貸借の更新をしない旨の通知にあつてはその賃貸借の期間の満了する日がその信託に係る信託行為によりその信託が終了することとなる日前1年以内にない場合を除く。)
(2)
合意による解約が、その解約によつて農地若しくは採草放牧地を引き渡すこととなる期限前6箇月以内に成立した合意でその旨が書面において明らかであるものに基づいて行なわれる場合又は
民事調停法
による農事調停によつて行なわれる場合
(3)
賃貸借の更新をしない旨の通知が、10年以上の期間の定めがある賃貸借
(解約をする権利を留保しているもの及び期間の満了前にその期間を変更したものでその変更をした時以後の期間が10年未満であるものを除く。)又は水田裏作を目的とする賃貸借につき行なわれる場合
(4)
第75条の2から第75条の7までの規定によつて設定された草地利用権に係る賃貸借の解除が、第75条の9の規定により都道府県知事の承認を受けて行なわれる場合
2
前項の許可は、次に掲げる場合でなければしてはならない。
(2)
その農地又は採草放牧地を農地又は採草放牧地以外のものにすることを相当とする場合
(3)
賃借人の生計
(法人にあつては、経営)、賃貸人の経営能力等を考慮し、賃貸人がその農地又は採草放牧地を耕作又は養畜の事業に供することを相当とする場合
(4)
賃借人である農業生産法人が農業生産法人でなくなつた場合並びに賃借人である農業生産法人の構成員となつている賃貸人がその法人の構成員でなくなり、その賃貸人又はその世帯員がその許可を受けた後において耕作又は養畜の事業に供すべき農地及び採草放牧地のすべてを効率的に利用して耕作又は養畜の事業を行なうことができると認められ、かつ、その事業に必要な農作業に常時従事すると認められる場合
3
都道府県知事が、第1項の規定により許可をしようとするときは、あらかじめ、都道府県農業会議の意見を聞かなければならない。
4
第1項の許可は、条件をつけてすることができる。
5
第1項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。
6
農地又は採草放牧地の賃貸借につき解約の申入れ、合意による解約又は賃貸借の更新をしない旨の通知が第1項ただし書の規定により同項の許可を要しないで行なわれた場合には、これらの行為をした者は、農林水産省令で定めるところにより、農業委員会にその旨を通知しなければならない。
7
前条又は
民法第617条(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)若しくは
第618条(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)の規定と異なる小作条件でこれらの規定による場合に比して賃借人に不利なものは、定めないものとみなす。
第21条
小作料の額が農産物の価格若しくは生産費の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により又は近傍類似の農地の小作料の額に比較して不相当となつたときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かつて小作料の額の増減を請求することができる。
ただし、一定の期間小作料の額を増加しない旨の特約があるときは、その定めに従う。
2
小作料の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の小作料を支払うことをもつて足りる。
ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払つた額に不足があるときは、その不足額に年10パーセントの割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3
小作料の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の小作料の支払を請求することができる。
ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた小作料の額を超えるときは、その超過額に年10パーセントの割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
第22条
小作料の額が、不可抗力により、田にあつては、収穫された米の価額の2割5分、畑にあつては、収穫された主作物の価額の1割5分を超えることとなつたときは、小作農は、その農地の所有者又は賃貸人に対し、その割合に相当する額になるまで小作料の減額を請求することができる。
第23条
農業委員会は、その区域内の農地につき、その自然的条件及び利用上の条件を勘案して必要な区分をし、その区分ごとに小作料の額の標準となるべき額
(以下『小作料の標準額』という。)を定めることができる。
2
農業委員会は、小作料の標準額を定めるに当たつては、前項の区分ごとにその区分に属する農地につき通常の農業経営が行われたとした場合における生産量、生産物の価格、生産費等を参酌し、耕作者の経営の安定を図ることを旨としなければならない。
3
農業委員会は、小作料の標準額を定めたときは、これを公示するとともに都道府県知事に通知しなければならない。
第24条
農業委員会は、小作料の標準額を定めた場合において、契約で定める小作料の額がその小作料に係る農地の属する前条第1項の区分に係る小作料の標準額に比較して著しく高額であると認めるときは、農林水産省令で定めるところにより、当事者に対し、その小作料を減額すべき旨を勧告することができる。
第25条
農地又は採草放牧地の賃貸借契約については、当事者は、書面によりその存続期間、小作料の額及び支払条件その他その契約並びにこれに附随する契約の内容を明らかにしなければならない。
2
農地又は採草放牧地の賃貸借契約の当事者は、その契約を締結したときは、農林水産省令で定めるところにより、その存続期間、小作料の額及び支払条件その他の事項を農業委員会に通知しなければならない。これらの事項を変更したときもまた同様とする。